痔と便潜血反応の関係 NHK「ガッテン!」から
便潜血陽性と痔の関連性は低いようです
先日NHKの健康番組「ガッテン!」で大腸がんの特集がありました。便潜血検査についてなかなか興味深い内容だったので今回ブログでお伝えしたいと思います。皆さん便潜血検査をされたことはありますか?日本では40歳以上の方はこの検査を受けることが勧められています。そしてこの検査で陽性が出た方は精密検査として大腸内視鏡検査を行うことが指導されます。ところが番組では陽性が指摘されても大腸内視鏡検査を受ける方が少ないということが報告されていました。
そしてその理由の多くが「痔の出血が原因だろう」との自己判断のようです。
番組の中ではもともとおしりの痛みや腫れなどの痔の典型的な症状が普段もなかった人でもこのように考える人が多いとのことです。
「痔があるから検査で引っ掛かったんだろう」と思い込むのは「自分は大丈夫」と思い込む「正常性バイアス」の一種で、人間が陥りやすい心理状態ですね。
ところが、番組では「実際には、もともと痔がある人と痔がない人の便潜血検査の陽性率は両者でほとんど差がない」との報告が紹介されていました。
これは論文でも実証されているようです。
というわけで、必ずしも痔があるから検査で引っ掛かる確率が高くなるわけではないようです。検査で引っ掛かった方はやはり大腸内視鏡検査が必要です。
便潜血反応陽性で検査を行った人のうち、大腸癌が見つかるのは3~5%ですが大腸ポリープが見つかる方は1/3以上もおられます。この大腸ポリープは放置をすると癌になる可能性もあり、この大腸ポリープの段階で発見して切除しておくと癌の芽を摘むことになるわけですね。
大腸ポリープの段階であれば、多くは内視鏡検査でポリープを切除することができます。それが発見が遅れると大腸がんの状態となってしまって、場合によっては手術などの治療が必要になることもあるわけです。
皆さんが普段運転している自動車も、定期的な車検を受けていますよね。これは車検によって運転中の突然の故障などで大きな事故になるのを未然に防いでいる目的があるわけですよね。同じことは私たちの体にも言えるのではないでしょうか。
私自身も全く自覚症状はありませんが、大腸カメラと胃カメラは定期的に受けています。皆さんも定期的なお身体のメンテナンスをしてくださいね。
当院ではなるべく苦痛を感じないように様々な工夫をして大腸内視鏡検査を行っています。詳しくはホームページで。それではまた~!