いぼ痔は指で戻す方がいいのか?
今回は少し専門的なお話しです。
突然いぼ痔(痔核)が出来たことがある方って多いんじゃないでしょうか?「ある日急にお尻が痛くなって、触ってみたらコブがある」というやつです。で、うちのクリニックに来る患者さんが良く言われるのが、「イボが出たら指で押して戻したらいい」と誰かに聞いてて、一生懸命押したけど全然戻らないし、押しすぎて逆に悪化した(涙)っていうものです。
さて、「いぼ痔が出たら、押して戻すのか戻さないのか」というのは昔からよく聞く話ですが、専門家として言わせていただくと「それは痔核のタイプによる」ということです。
どういうことかというと、「内痔核がお尻から出てきた時は、可能なら指で戻した方がいいけど、外痔核は戻さなくていい」ということです。
痔核には2種類あって、大雑把にいうと表面が皮膚に覆われている外部にできる外痔核と、表面が腸の粘膜に覆われている内痔核とに分けられます。内痔核は元々お尻の中にあるものなので、これが排便時にスライドして外に出てきた場合は、お尻の出口で内痔核が締め付けられるため、うっ血して更に症状が悪化する場合があります。このため内痔核が脱出してきた場合は指で戻した方が症状が良くなることが多いと思います。これに対し、外痔核は元々お尻の外側にあるものなので、入れる必要はありません。たとえ押して入ったとしてもすぐに出てきますし、無理に押し込んで中に入れても余計悪化することがあります。
それでは、今自分にできているいぼ痔が外痔核なのか内痔核なのかの見分け方はどうしたらいいのでしょうか?一番は自分で鏡やスマホのカメラなどでおしりを見てみることです。なかなか普段見ない場所ではありますが、でてきているコブの表面が皮膚で覆われていれば外痔核ですし、ピンク色~赤みを帯びた色(=腸の粘膜)であれば内痔核でしょう。
外痔核でも内部に血栓(血の塊)ができている場合は血栓が透けて見えるので青みがかった色をしています。また、内痔核でも激しく締め付けられてしまってうっ血した場合は赤黒く見えることもあります。専門医が見ればすぐわかりますが、一般の方にはちょっと鑑別は難しい場合もあるかもしれませんね。やはりお尻に異常を感じた場合は早めに病院を受診するのが一番確実だと思います。
早目に受診して治療を行えば早く症状も改善しますよ。一人で悩まずにぜひご来院を。それではまた~!