おくむら大腸肛門クリニック院長のブログ

岡山市の大腸肛門専門クリニックの院長のブログです。

痔の特集の放送を見て思うこと

NHK「チョイス」が痔について特集f:id:okumura-clinic:20180522104400j:plain

先日NHKの健康チャンネルの「チョイス」という番組で、痔の特集が放送されました。こういう番組は、患者さんも良く視聴されているようですね。放送後に外来で番組の内容について良く質問されたりするので、私も気づいた時はなるべく見るようにしています。

今回はどの先生が解説をされるのかと思ってましたが、東京のマリーゴールドクリニックの山口トキコ先生でした。山口先生は女性肛門科医の草分け的な先生で、この世界ではかなり有名な先生です。非常に分かりやすい解説をされていて、見られた患者さんも良く理解できたのではないでしょうか。普段から患者さんにもよく説明をされているんだろうなと感じました。ご説明の中で印象に残ったのは「痔は患者さんの意思で治療法を選択して良い」というセリフでした。

これは普段から私も良く患者さんにお話ししていることです。痔は癌などの病気と違って良性の病気です。いぼ痔、切れ痔、痔ろうという病気は基本的に一刻を争う病気ではなく、手術の適応があったとしても、急いで手術をしないといけないというものではありません。患者さんが、「今の痔の症状をどこまで治したいか」によって治療法を選んでもらっていい病気です。以前は、たいして症状もないのに病院に行ったらいきなり手術を勧められたという方がおられたかもしれません。昔は悪いものは手術してしまえという考え方もありましたが、現在は痔は生活習慣病として認識されています。このため、私はよっぽどひどい状態でない限り、初診でいきなり手術をお勧めすることはあまりありません。(痔ろうは別ですが・・)まずは生活習慣の改善と坐薬などの薬物治療をするようお話しします。それでも症状が改善しなければ患者さんのご希望に応じて手術の相談をするというのが基本的な方針です。ひどいと思った痔も、薬を使いながら生活習慣に気を付けると結構症状が良くなる方はたくさんおられます。私の外来では、こちらから一方的に手術をお勧めするということはありませんので、初診の方も安心してくださいね。

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痔ろうについては当院でも良く行っているシートン法の説明もありました。痔ろうの穴に輪ゴムを通して、時間をかけて少しずつ穴を切っていくという手術法です。一見変わったやり方と思われるでしょうが、痔ろうの手術では一般的な術式なんですよ。肛門括約筋というお尻を絞める筋肉のダメージを最小限にする目的で行われています。

番組を見て思ったことは、一般の患者さんに馴染みのない情報こそ、分かりやすい言葉で丁寧にお伝えするのが今の医師には大切な使命だということですね。そのスキルと努力が私たち医師には求められています。

皆さんも外来で疑問に思ったことは何でも遠慮せずに聞いてください。できる限り分かりやすくご説明したいと思います。それではまた~!

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