おくむら大腸肛門クリニック院長のブログ

岡山市の大腸肛門専門クリニックの院長のブログです。

岡山慢性便秘セミナーで講演しました

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日岡山グランヴィアホテルで慢性便秘のセミナーがあり、講演を行いました。私は7年間の川崎医科大学附属病院の大腸外科医師としての勤務を経て、3年前に大腸肛門専門クリニックの開業医となりました。大学病院時代には便秘が原因と思われる大腸穿孔などの緊急手術を非常に多く経験しました。今回の発表の前半は、それらの経験を踏まえ、便秘に対する現在の私の考えを述べさせていただきました。

簡単に言うと「便秘は決して軽い病気はなく、きちんと治療しないと生命予後にも関係しうる病気だ」という認識が、医師には必要だということです。便秘が原因で腸に穴が開いてしまうと人工肛門になったり、最悪命を落としてしまうこともあるんです。私が今、便秘治療に力を入れているのはそのような経験があるからです。

発表の後半は私が現在行っている便秘治療の方法をお話ししました。

今回のセミナーの最後には、横浜市立大学教授の中島淳先生が便秘治療のご講演をされました。中島先生は慢性便秘治療の第一人者で、メディアにもしょっちゅう登場している非常に有名な先生です。中島先生は今回の発表の中で、「先ほど奥村先生が言われたように~」と、先に発表した私の名前を10回以上も出してくださいました。(笑)大変恐縮しましたが、嬉しかったです。

講演後、他の演者の先生方と一緒に中島先生との飲み会に参加させていただきました。いろんな先生から「先生の発表、面白かったよ!」と言っていただけて、大変ありがたかったです。また、中島先生はなんと、私が東京で研修していた「東京山手メディカルセンター」にも大学卒業後に数年勤務されていたとのことで、そのころのお話をたくさん聞かせていただきました。この日は本当に大変貴重でありがたい時間を過ごさせていただき、幸せな気持ちでした。これからも便秘で悩まれている方に少しでも力になれるよう頑張りたいと思います。それではまた!

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電子カルテが入りました!

 

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電子カルテiPad(画面はテスト患者さん用)

今年の春先からずーっと準備していたことが7月からとうとう実現しました。当クリニックに電子カルテがやってきたんです。

当院は開院以来ずっと紙カルテで診療してきましたが、患者さんのカルテも増えてきてその置き場所に困ったり、検査結果や手術記録の保存などに支障をきたしてきたので、数年前から電子カルテの導入を考えていました。

私が東京の肛門科専門病院で勤務していた時にも、メーカーが都心で定期的に開催していた電子カルテの体験会などにも参加して、かなり以前からあれこれ比較検討していました。電子カルテは一旦導入すると簡単には変更できないので、どうしても選定には慎重になります。

そして、今年の長かったゴールデンウィーク中にあれこれ考えて、最終的に電子カルテのメーカーを決定しました。電子カルテには病院内のパソコン内にカルテのデータをすべて保存するタイプと、近年普及してきたクラウド型カルテという、カルテのデータをインターネット上ですべて保存するタイプに分かれます。

当院は今回後者のクラウド型のカルテを採用しました。クラウド型の利点は、病院が地震や水害で損傷を受けてもデータが消えることがないということと、ネットさえあれば院外からでも患者さんのカルテを見ることができるので、当院で手術をされた患者さんから問い合わせの連絡があったときになどに、すぐ情報を確認できるなどの利点があります。また5年ごとに数百万払って電子カルテ専用のパソコンを更新する必要もありません。これも経営的には非常に大きいですね。

今回ゴールデンウィーク明けにメーカーに連絡を取って契約し、その後約2か月かけて院内の設備を準備しました。この準備は、多くの先生はメーカーにお任せして設定や設備の設置をすることが多いのですが、私は今回すべて自分でやりました。何事も節約ですし、自分でやった方が今後何かあったときに自分で対応できるようになれるからです。

とはいうものの、この2か月という間、休日も含めて夜遅くまで一日中病院にいて、ネットの配線をしたり新しいパソコンを設置したりで大変でした・・でもLANの知識などいろいろ勉強にもなりました。

7月1日から運用を開始して、最近はかなりスムーズに使えるようになってきました。一番のお気に入りは、iPadを使って手書きで問診できることです。手書きで問診できれば、パソコンの画面ばかり見て患者さんの顔を見られなくなることも減りますよね。これからどんどん慣れてきたら、患者さんとお話しする時間ももっと増やせられると思います。また一度皆さんもご来院して見てくださいね。それではまた~!

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GWは 東京で病院見学

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皆さんは今年の超ロングGWはいかがお過ごしでしたか?当院は9日間お休みをいただきましたので、この休みを利用して中東を旅行してきました!・・というのはウソで、この写真は東京都の新大久保駅近くの百人町通りです。(笑)新大久保駅近辺はコリアンタウンだけではなく、外国の方向けの日本語学校なども多く、様々な人種の方がいます。新大久保駅前を歩いている日本人は1-2割程度という感じで、日本にいながら異国情緒溢れる場所です。この写真はイスラム教の方が食べても大丈夫なハラル食を売っている有名なお店が集まっている所で、いつもイスラム圏の人たちで活気にあふれています。たまにコーランが流れたりしています。私はこういう活気のあるアジア的な所が大好きですね。
さて、GW中に当院は以前より懸念だった院内の水道関係の設備の工事を行いました。工事するには一週間以上診療ができなくなるということだったので、工事にも丁度いいタイミングだったのです。
しかしさすがに連休中ゴロゴロ過ごすのも勿体ないので、連休中の4月31日から5月2日までその新大久保にある東京山手メディカルセンターの大腸肛門病センターに手術見学に行きました。

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東京山手メディカルセンター
この病院は三年前まで私が勤務していた病院です。肛門の手術では全国トップの病院で、肛門科を専門にしている医者で知らない人はいないという超有名病院です。中でも部長の佐原力三郎先生は私が大変お世話になった先生で、たびたびメディアにも登場されている有名な先生です。私の現在の肛門の手術のほとんどはこの佐原先生から教えていただいた術式を取り入れています。ただ、私も岡山に戻って開業していると、手術のことで様々な疑問点や確認しておきたい点が出てきたので、それらの疑問の解消に今回再度手術見学をさせていただきました。やはり一人だけで手術をしていると独りよがりの手術になる危険もあり、定期的なアップデートは必要だと思います。
この日佐原先生は朝から昼食抜きで30件の痔の手術をこなされていました。佐原先生は既に還暦を超えられていますが、その体力と集中力は恐るべしです!久しぶりに見た佐原先生の手術は相変わらず素晴らしく、私も大変いい勉強になりました。また、3年前一緒に働いた同僚の先生にもお会いできて楽しかったです。個人的には、ここに勤務中に私が作った手術記録の電子化のシステムを今でも皆さんが使っていてくれたのが嬉しかったですね。頑張った甲斐がありました。
今回、手術のことで新しく気付いた点がたくさんありました。この経験をぜひ当院の患者さんにもフィードバックしてお役立てしたいと思います。
それではまた!
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便秘は寿命を縮めます!~慢性便秘症のセミナーに参加

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先日、東京で開催された慢性便秘の治療に関するセミナーに参加してきました。全国から700人ぐらいのドクターが1つの会場に集合し、最新の便秘治療についての討論が行われました。なにせ大きな会場で、正面に3つの大きなモニター画面が並んでいました。なかなか壮観でしたよ。

一般的に便秘といえば癌などの病気に比べるとそれほど深刻なものとは認識されていません。ところが近年、便秘がQOL(生活の質)を下げるだけでなく、寿命を縮めることも明らかになってきました。2018年12月に発表された論文ですが、米国の中高年男性(330万人!)を対象とした調査によると、便秘患者と便秘ではない人々を比較したところ、便秘患者では、便秘のない人に比べて、約10~20%死亡リスクの上昇が認められたとのことです。全体の死亡リスクは12%上昇し、冠動脈疾患の発症リスクは11%、脳梗塞の発症リスクは19%上昇していました。これは便秘による腹満感などで食欲低下を招き栄養状態が悪化したり、排便時のいきみなどで血圧があがり、心筋梗塞脳卒中、寝たきりなどのリスクが高まる為と考えられています。

多くの医師は、慢性的な便秘を『治療が必要な疾患』と考えていない傾向があります。便秘の方が来られたら「とりあえず即効性のある刺激性下剤などを出して、あとはそのまま」という医師も多いのではないでしょうか。ところがこの刺激性下剤は常用すると癖になって徐々に効きが悪くなったり、大腸が黒く変色したりする副作用もあり、基本的には屯服で使用するべきお薬です。最近は常用しても癖にならず、安全性の高い慢性便秘に対する薬もたくさん出てきました。以前に比べると薬の選択肢がかなり増えてきて、便秘の悩みで来られる方が多い当クリニックとしては大変ありがたいことです。

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今回のセミナーではそれら新薬の使い分け方などが討論されて、中々勉強になりましたよ。当院ではアミティーザ・リンゼス・グーフィス・モビコールなどの新規便秘治療薬はすべて院内処方可能です。便秘のお薬を院外薬局でもらうと、薬剤師さんからの説明の時にちょっと恥ずかしいという方も多いですよね。

便秘の治療の最終目標は便秘薬を飲まなくても快便が出ることです。このため当院では便秘薬を出すだけでなく、腸内環境を改善させる薬の処方や日常生活上の便秘対策なども詳しくお話ししています。便秘でお悩みの方はぜひご来院くださいね。

それではまた~。

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患者様からの頂き物を見て思うこと

 待合室のプレート

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当院に来られる患者さんから時々頂き物をいただくことがあります。柿やブドウ、桃など季節の食べ物を差し入れてくださる患者さんも多いのですが、その他にも色々物を持ってきてくださる方もおられます。当院に飾っていある物には患者さんからいただいた物も多いんですよ。今日はその中のひとつをご紹介します。

当院に来られた方は見たことがあるかもしれませんが、待合室にクリニックのロゴマークを刺繍したプレートがあります。これは以前当院で手術をされた患者さんが、術後に持ってきて下さったものです。この方は長年痔に悩んでおられましたがなかなか肛門科を受診する勇気が出ず、長い間ためらっておられたということでした。そして意を決して来院され、その後手術をし経過も良好ですっかり症状が良くなりました。大変喜んでいただいて、ある日このプレートを持ってきてくださいました。とても素晴らしい刺繍で、以来ずっと待合室に飾らせていただいています。

私が医師になったのは、「他人の病気の悩みを治す」という医師の仕事は、私自身の一生を打ち込む価値が十分にあるものだと思ったからです。これは他の仕事では中々できないことです。以前働いていた川崎医大では救急患者さんが非常に多く、緊急手術の連続で本当に倒れる寸前まで働いていたこともありましたが、その仕事の価値にやりがいを感じていたから頑張れました。ただ、どんなに頑張っても思い通りの経過にならず、術後の患者さんにご負担を与えてしまうこともありましたし、特にがんの患者さんはあらゆる治療を行ってもどうしても救えなかった方もおられました。でも、とにかく目の前の患者さんに常に自分ができる最善の治療を全力で行うというポリシーは貫いてきました。それは開業医となった今でも同じです。そしてその結果、患者さんから喜んでいただき感謝のお言葉をいただいた時は、まさに「医者冥利に尽きる」瞬間です。外来に置いてあるこのプレートを見るたび、「しんどいこともあるけど、医師の仕事を頑張ろう!」っていう気持ちになれます。

手術というのは人間が行う以上、100%完璧ということはありえません。でも患者さんの体にメスを入れる事が唯一許されている仕事である以上、外科医は一生勉強し自分の技術を少しでも向上させる努力をし続けなければいけません。これからも精進して、一人でも多くの患者さんの笑顔を見られるよう頑張りたいと思います。それではまた!

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大腸内視鏡ハンズオンセミナーに参加(神戸)

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皆さんは上の写真を見て何か分かりますか?これは大腸内視鏡検査のシミュレーション用の器具で、人間の大腸の走行・動きを忠実に再現したものです。大腸内視鏡検査というのは胃カメラと比較して手技の習得がなかなか難しく、医者の技術によっては患者さんに非常に痛みを与えてしまうことがあります。なので、特に初心者はこのような器具を使って予め練習をしてある程度の技術に達してから実際の検査に臨むわけです。

大腸内視鏡検査の挿入技術は日々進歩しており、以前はレントゲン下で透視しながら検査をしたり、カメラを持つ人と操作する人が別々にいて、二人がかりで行う二人法というやり方が主流だったことがありました。それが現在では無透視・一人法が主流になってきていますが、まだまだ誰でもすぐできるという検査ではなく、全国の内視鏡医が「痛みのない挿入法」を目指して日々試行錯誤して行っている面もあるのです。

以前お話ししましたが、私は「二木会」という大腸内視鏡の挿入技術を学ぶ会に属しています。大腸カメラの挿入技術を更に高めたいという全国の医師が、大学の医局の垣根を超えて集まっている会です。私も暇さえあれば二木会facebook上にアップされた他の先生方の挿入動画を見て勉強しています。最近では去年の夏に神戸でこのコロンモデルを使用した二木会主催のセミナーがあったので参加してきました。二木会の「師範」と呼ばれている超人クラスの先生方から貴重な挿入のコツを色々教えていただきました。二木会セミナーには、参加する医師の何人かが実際に下剤を飲んで患者役になってカメラを受けるライブデモもあるんですよ。

当院で大腸カメラをした後、患者さんに「先生にしてもらった検査が一番痛くなかった!」と喜んでいただけるのが一番医師として嬉しいです。これからも日々努力して少しでも患者さんに喜んでいただける検査を行いたいと思います。それではまた!

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いぼ痔は指で戻す方がいいのか?

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家族みんなの痔学読本(天藤製薬株式会社)より

今回は少し専門的なお話しです。

突然いぼ痔(痔核)が出来たことがある方って多いんじゃないでしょうか?「ある日急にお尻が痛くなって、触ってみたらコブがある」というやつです。で、うちのクリニックに来る患者さんが良く言われるのが、「イボが出たら指で押して戻したらいい」と誰かに聞いてて、一生懸命押したけど全然戻らないし、押しすぎて逆に悪化した(涙)っていうものです。

さて、「いぼ痔が出たら、押して戻すのか戻さないのか」というのは昔からよく聞く話ですが、専門家として言わせていただくと「それは痔核のタイプによる」ということです。

どういうことかというと、「内痔核がお尻から出てきた時は、可能なら指で戻した方がいいけど、外痔核は戻さなくていい」ということです。

痔核には2種類あって、大雑把にいうと表面が皮膚に覆われている外部にできる外痔核と、表面が腸の粘膜に覆われている内痔核とに分けられます。内痔核は元々お尻の中にあるものなので、これが排便時にスライドして外に出てきた場合は、お尻の出口で内痔核が締め付けられるため、うっ血して更に症状が悪化する場合があります。このため内痔核が脱出してきた場合は指で戻した方が症状が良くなることが多いと思います。これに対し、外痔核は元々お尻の外側にあるものなので、入れる必要はありません。たとえ押して入ったとしてもすぐに出てきますし、無理に押し込んで中に入れても余計悪化することがあります。

それでは、今自分にできているいぼ痔が外痔核なのか内痔核なのかの見分け方はどうしたらいいのでしょうか?一番は自分で鏡やスマホのカメラなどでおしりを見てみることです。なかなか普段見ない場所ではありますが、でてきているコブの表面が皮膚で覆われていれば外痔核ですし、ピンク色~赤みを帯びた色(=腸の粘膜)であれば内痔核でしょう。

外痔核でも内部に血栓(血の塊)ができている場合は血栓が透けて見えるので青みがかった色をしています。また、内痔核でも激しく締め付けられてしまってうっ血した場合は赤黒く見えることもあります。専門医が見ればすぐわかりますが、一般の方にはちょっと鑑別は難しい場合もあるかもしれませんね。やはりお尻に異常を感じた場合は早めに病院を受診するのが一番確実だと思います。

早目に受診して治療を行えば早く症状も改善しますよ。一人で悩まずにぜひご来院を。それではまた~!

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