おくむら大腸肛門クリニック院長のブログ

岡山市の大腸肛門専門クリニックの院長のブログです。

患者様からの頂き物を見て思うこと

 待合室のプレート

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当院に来られる患者さんから時々頂き物をいただくことがあります。柿やブドウ、桃など季節の食べ物を差し入れてくださる患者さんも多いのですが、その他にも色々物を持ってきてくださる方もおられます。当院に飾っていある物には患者さんからいただいた物も多いんですよ。今日はその中のひとつをご紹介します。

当院に来られた方は見たことがあるかもしれませんが、待合室にクリニックのロゴマークを刺繍したプレートがあります。これは以前当院で手術をされた患者さんが、術後に持ってきて下さったものです。この方は長年痔に悩んでおられましたがなかなか肛門科を受診する勇気が出ず、長い間ためらっておられたということでした。そして意を決して来院され、その後手術をし経過も良好ですっかり症状が良くなりました。大変喜んでいただいて、ある日このプレートを持ってきてくださいました。とても素晴らしい刺繍で、以来ずっと待合室に飾らせていただいています。

私が医師になったのは、「他人の病気の悩みを治す」という医師の仕事は、私自身の一生を打ち込む価値が十分にあるものだと思ったからです。これは他の仕事では中々できないことです。以前働いていた川崎医大では救急患者さんが非常に多く、緊急手術の連続で本当に倒れる寸前まで働いていたこともありましたが、その仕事の価値にやりがいを感じていたから頑張れました。ただ、どんなに頑張っても思い通りの経過にならず、術後の患者さんにご負担を与えてしまうこともありましたし、特にがんの患者さんはあらゆる治療を行ってもどうしても救えなかった方もおられました。でも、とにかく目の前の患者さんに常に自分ができる最善の治療を全力で行うというポリシーは貫いてきました。それは開業医となった今でも同じです。そしてその結果、患者さんから喜んでいただき感謝のお言葉をいただいた時は、まさに「医者冥利に尽きる」瞬間です。外来に置いてあるこのプレートを見るたび、「しんどいこともあるけど、医師の仕事を頑張ろう!」っていう気持ちになれます。

手術というのは人間が行う以上、100%完璧ということはありえません。でも患者さんの体にメスを入れる事が唯一許されている仕事である以上、外科医は一生勉強し自分の技術を少しでも向上させる努力をし続けなければいけません。これからも精進して、一人でも多くの患者さんの笑顔を見られるよう頑張りたいと思います。それではまた!

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